僕は学者ではないから、正確な数字や割合は出せないが、日本は宗教を土台に祝日を制定していない世界でもまれな国だと思う。西欧諸国は、政教分離とうたっていても、必ずキリスト教の教えが軸となってイースターやクリスマスを祝日としているし、アラブ諸国はイスラムの戒律を元に、ラマダン後のイード・アルアドハーなどを祝日としている。日本は、そういった宗教の教えではなく、単に子供の成長を祝ったり、季節の移り変わり(春分、秋分)を祝ったり、憲法制定や建国を国の祝日としている。
そんな違いもある程度認識しながら、息子たちの次の世代に、日本の文化風習はしっかりと受け継いでいきたいと思っている。国際的な仕事をし、世界を動き回るような生活をしていても、自分の基礎となる場所や考え方を持っていることは重要だ。僕も、時々「日本ではこの件では、どんな風にしているの?」といった質問を受けるし、僕だけに限らず日本人職員それぞれが、担当部署で日本を代表する大使的役割を担っているはずだ。こういう環境にいれば、否が応でも自分の国について知っている必要がある。
さて話は少し変わるが、現在のヨーロッパの政治情勢。新たなフランスの大統領として選出されたフランソワ・オーランド氏、フランス建国以来、初めて社会党が政権を取る。また、ユーロ圏での一番の問題児ギリシャは、緊縮財政を反対する国民の声を反映し、連立政権を樹立できないでいる。
日本では、理想的に語られることの多いヨーロッパ連合。しかし、ユーロ通貨危機を発端として、日本でもとうとうこれらの経済協定に疑問を投げかける声が出てきている。新自由主義、グローバル経済からの見直しが声高に叫ばれ、とうとう民主主義および資本主義に修正を加える時期が来ているのだと思う。
世界経済は繋がれば繋がるほど、海千山千の競争相手と戦わなければいけなくなる土壌が広がっていく。これにより、価格低下が訪れ消費者としての自分たちは恩恵を受ける。ただ、人は消費者としての側面だけではなく、生産者であり労働者であるため、雇用を追われる憂き目にあう。ユーロ圏でもラテン系経済圏は深刻で、イタリア、スペイン、ギリシャなどは、失業率20%以上である。若年層に至っては、この数字はもっと高いはずだ。
しかし、こんな事実を前にしてもグローバル経済は既にあるものとして、うまく付き合っていくほか現在の対処法はないように思う。いきなりブロック経済を実行して、自国の雇用や産業を守っていくことなど到底できない。相応の輸出入は、どの国にとっても大切な経済活動の一環だからだ。ヨーロッパは、ある意味実験的な貨幣統一や経済協定を押し進めていって自ら理想郷に挑戦した。しかし、結果としていろんな問題が山積している。僕は、これらの流れを実際にヨーロッパで体験できている現状がとても貴重だと思っている。
日本という国で育った僕には、日本の文化風習を守っていく義務があると自分で思っている。どうしたら、次の世代に良い形でバトンタッチができるのか、最近よく考える。様々なニュースや書籍に接し、これが絶対などというものは本来存在しないのだと思う。でも、守っていきたい物もやはりあると感じている。
大切なのは、思考を止めないことだろう。
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