2011年10月05日

第2言語

国連公用語は、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語の6つである。以前書いたかもしれないが、言語をたくさん操れるだけで国連機関に入ってくることはできず、自分の専門性が必要で、言語よりも何ができるかが優先される機関だ、と。それは、仕事をする上で当然の話で、自分自身それほど気にもしていなかった。スーダンに来てから、アラビア語を学ぼうとしたが、挫折し、仕事の合間をぬってフランス語の勉強を再開しようとしたが、時間がなかなか工面できず、さらに挫折していた。それでも、まぁいつか、どこかで再開しようと思う程度にのんきに構えていた。

しかし、そういうわけにはいかなくなった。英語以外の言語を持つことは、国連職員としての当然の資格要件となってしまったようだ。2年間をここスーダンの土地で過ごし、契約更新が控えていた。ちなみに、契約更新というと、とても不安定な気がするが、国連の正規職員のほとんどが、1年単位の契約を更新して仕事をこなしているのが現実。今回その更新にあたって、本部から、言語の資格検査を合格した証明書を送ってくれないと、次の更新はしないという、ビックリするようなメールが突然送り付けられた。

家族を持つ身としては、当然焦り、いろんな人に連絡した。僕が思っていたように、ほとんどの人の反応は、第2言語を持っていない人はたくさんいるから、上司に言えば絶対、契約更新してくれるから大丈夫というものであった。結果、更新はされて、先日ブログにも載せたように、本部ローマに行くことが決まったのだが、第2言語のことで人事上の手続きが止まっていたのは確かだ。ローマの担当課の上司に連絡をすると、人事部とすぐに話をしてくれたようで、事なきを得たが、非常に心臓に悪い日を過ごした。

他の同僚に、「そんなことがあって困ったよ。」程度に話を打ち明けると、その彼も同じ境遇に立たされていた。僕が、その状況を説明して、上司に直接話すことを勧めたが、どうやら、この第2言語の習得というのは、建前のみでなく、雇用を維持するうえでも必要条件となってしまったようだ。人事規則にも正式に掲示されたようなので、強制力によって、僕自身も言語の習得に励まなければならなくなった。

さて、どの言語にしようか。国連公用語を母国語としていないものにとっては、結果として3ヶ国語話さなければならないということだ。自分でいうのもなんだが、それなりに言語習得のセンスはあると思っているので、学生時代にした中国語に磨きをかけるか、そこはやはり国連で生きていくためのフランス語に力を入れるか、現在考え中。しかも、次の行先はイタリアで、イタリア語もそれなりに習得しなければならない。

言語習得にばかり、時間をかけると肝心の「思考する」という機会が相対的に小さくなる。これは、帰国子女に陥りがちな思考の浅い人間を作ってしまうことになる。つい先日、インドネシアから独立した西ティモールの教育状況を取り上げた記事を読んだ。そこでの公用語は、2つ。ティトゥン語とポルトガル語。そして、国が掲げる教育方針では、お隣のインドネシア語と、国際的に発展してほしいため、英語を推奨している。子供たちは、4つの言語を学ばなければいけない環境にある。

東ティモールの将来がとても心配になったのは言うまでもない。そして、僕の子供たちがそんな運命を辿らないようにしなくては、と改めて考えさせられた。やっても3カ国語までかな。それ以上は、頭が混乱してしまう。

さしあたっては、自分自身の第2言語(日本語ができるのだから、本心は第3言語と叫びたい)だが、イタリアでのイタリア語以外の言語習得は、効率が悪いだろうなぁと思う。まぁ、よりよく世界を渡り歩くためには、言語は無くてはならないものだ。ここダルフールにいる間は、全くやる気が起きないが、イタリアに着いたらやり始めよう。
posted by atsushi at 03:09| Comment(2) | 国連職員としての日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。現在国連の某機関からの最終セレクション結果を待っている者です。国際機関は初チャレンジです。今回のテーマでいう公用語2言語は習得済みで、一般企業歴10年ほどです。外からは国連の情報をつかむのがなかなか難しい中、近藤さんのブログは大変興味深いものがあり、隅々まで読ませていただいております。私の場合はフィールドではなく、採用地がローマなので、ますます親近感が湧いています。ただ、公募締め切りから半年が過ぎようとしており、国連の採用プロセスにやや疲れてきました。いつ最終結果をもらえるのか、全くわからないからです。

以前書かれていたように、日本で仕事をしている方が家族の生活も安定するし、収入面などの条件も国連よりもいいと思います。いまは他社からのオファーを断りながら結果を待っています。そこまでしてなぜ待っているのか。国際公務員に昔からあこがれていたこともありますが、たぶん一番自己実現ができる職場が国連なのではないか?という思い込みで臨んでいます。これからも、ぜひ情報発信を続けてください。応援しています。
Posted by チャレンジ中 at 2011年10月05日 12:03
チャレンジ中さん

応援メッセージを含んだコメントありがとうございます。何事も、継続させるというのがとても難しく、日々、「継続は力なり」と思いながら奮闘しているところです。

そうですか、他社のオファーを断りながら、国連機関の採用を待っているのですね。ローマということは、僕の所属する機関なのでしょうか。まぁ、あと2つほどあったと思いますが、採用が確定するまでは確かに長くかかります。

僕の場合は、3か月後に連絡が来て、赴任したのは、6か月後だったと記憶しています。

国連への思い込み、そういうのって大事ですね。それが人に勢いと根性を植え付け、夢や希望へ前進する力を与えるのだと思います。理屈だけでは、人は動かないし、自分も動けない、やはり思いがそれを可能にさせるのでしょう。

お互い頑張りましょう。
Posted by atsushi at 2011年10月06日 00:34
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