2012年05月14日

守るもの 変わるもの

少し時間が経ってしまったが、5月5日の子供の日、息子の初節句を無事に行うことができた。日本からは、妻の父母がゴールデンウィークの休暇を利用し、息子のための五月人形を抱えここローマを訪ねてくれた。近所の市場で買った魚を焼き、立派な兜を前に、家族揃って息子のすこやかな成長を祝った。こういう行事を通して、日本の伝統や文化を改めて見直し、そして自分自身も親のありがたみを再認識する。

僕は学者ではないから、正確な数字や割合は出せないが、日本は宗教を土台に祝日を制定していない世界でもまれな国だと思う。西欧諸国は、政教分離とうたっていても、必ずキリスト教の教えが軸となってイースターやクリスマスを祝日としているし、アラブ諸国はイスラムの戒律を元に、ラマダン後のイード・アルアドハーなどを祝日としている。日本は、そういった宗教の教えではなく、単に子供の成長を祝ったり、季節の移り変わり(春分、秋分)を祝ったり、憲法制定や建国を国の祝日としている。

そんな違いもある程度認識しながら、息子たちの次の世代に、日本の文化風習はしっかりと受け継いでいきたいと思っている。国際的な仕事をし、世界を動き回るような生活をしていても、自分の基礎となる場所や考え方を持っていることは重要だ。僕も、時々「日本ではこの件では、どんな風にしているの?」といった質問を受けるし、僕だけに限らず日本人職員それぞれが、担当部署で日本を代表する大使的役割を担っているはずだ。こういう環境にいれば、否が応でも自分の国について知っている必要がある。

さて話は少し変わるが、現在のヨーロッパの政治情勢。新たなフランスの大統領として選出されたフランソワ・オーランド氏、フランス建国以来、初めて社会党が政権を取る。また、ユーロ圏での一番の問題児ギリシャは、緊縮財政を反対する国民の声を反映し、連立政権を樹立できないでいる。

日本では、理想的に語られることの多いヨーロッパ連合。しかし、ユーロ通貨危機を発端として、日本でもとうとうこれらの経済協定に疑問を投げかける声が出てきている。新自由主義、グローバル経済からの見直しが声高に叫ばれ、とうとう民主主義および資本主義に修正を加える時期が来ているのだと思う。

世界経済は繋がれば繋がるほど、海千山千の競争相手と戦わなければいけなくなる土壌が広がっていく。これにより、価格低下が訪れ消費者としての自分たちは恩恵を受ける。ただ、人は消費者としての側面だけではなく、生産者であり労働者であるため、雇用を追われる憂き目にあう。ユーロ圏でもラテン系経済圏は深刻で、イタリア、スペイン、ギリシャなどは、失業率20%以上である。若年層に至っては、この数字はもっと高いはずだ。

しかし、こんな事実を前にしてもグローバル経済は既にあるものとして、うまく付き合っていくほか現在の対処法はないように思う。いきなりブロック経済を実行して、自国の雇用や産業を守っていくことなど到底できない。相応の輸出入は、どの国にとっても大切な経済活動の一環だからだ。ヨーロッパは、ある意味実験的な貨幣統一や経済協定を押し進めていって自ら理想郷に挑戦した。しかし、結果としていろんな問題が山積している。僕は、これらの流れを実際にヨーロッパで体験できている現状がとても貴重だと思っている。

日本という国で育った僕には、日本の文化風習を守っていく義務があると自分で思っている。どうしたら、次の世代に良い形でバトンタッチができるのか、最近よく考える。様々なニュースや書籍に接し、これが絶対などというものは本来存在しないのだと思う。でも、守っていきたい物もやはりあると感じている。

大切なのは、思考を止めないことだろう。
posted by atsushi at 05:59| Comment(2) | ひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本を離れて暮らしていると 日本の文化や伝統が時々、重要なことだと強く感じる事があります。子さんの成長楽しみですね。
国連の事など、とても勉強になります!今後も楽しみにしています。
Posted by Limei at 2012年05月18日 22:52
Limeiさん

コメントありがとう。子供をとおして新しい発見や気付き、そしていろいろ学ぶ機会ができました。ほんとうに楽しいものです。

個人情報保護や組織上のソーシャルネットワークに関する規定などを考えると、情報を発信することの難しさを感じている今日この頃です。しかし、私の経験や考察を通じて、一人でも多くの日本人が海外を身近なものととらえて、国際感覚を身につける一助になればと願っており、それがこのブログの動機です。

玉虫色的な発言はなるべく抑えて、率直な意見、本当のところはこうです的発言を心がけています。これからも応援よろしくお願いいたします。
Posted by atsushi at 2012年05月22日 05:55
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